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大庭亨(助手) 分子研リポート2004 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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(1)

研究系及び研究施設の現状 247

大 庭   亨(助手)

*)

A -1)専門領域:生物分子科学、生体関連化学

A -2)研究課題:

a) ナノ分子の自己会合をモチーフとする新材料の開発 b)クロロフィル誘導体の薬剤への応用

c) 光合成メカニズムの分子レベルでの解明

d)フルオレン誘導体の立体選択的反応の解明と、フラーレンフラグメント合成への応用

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) 次世代の材料にはナノスケール・分子スケールの高い集積度だけでなく,必要なときだけ機能し,不要になったら容 易に分解・リサイクルできるような性質が必要となるだろう。我々はこのような性質をもつナノデバイスを初めて 構築した(2005年2月出版予定2報)。さらに,強磁場を応用したこのデバイスの高機能化や,ナノスケールへの機 能分子集積方法を種々検討している。

b)クロロフィル誘導体はガンの光線力学的療法用増感剤として有望視されているが,水溶性がほとんどなく,大きな 会合体コロイドを形成することが研究を妨げてきた。我々はクロロフィルにカチオン性の高分子鎖を修飾し,水溶 性と会合特性の制御を試みた(2005年2月出版予定1報)。さらに,細胞標的化や分子標的化を念頭において,最適 な分子の設計を目指している。

c) 光合成の中で中心的役割を果たすクロロフィルは非対称な分子であり,その大きなπ共役系平面には「表」と「裏」が ある。これまでに我々は,この「表面」と「裏面」ではわずかながら性質が異なることを明らかにしてきた。本研究では この微小な偏りが,昨年新たに詳細な構造が発表されたクロロフィル蛋白質中にも見られることを明らかにした。 さらに,クロロフィルの「表面・裏面」の命名法を提案した(2005年2月出版予定2報)。

d)フルオレンをメソゲンとする液晶分子(非直線的分子)を種々合成し,それらの液晶性をビフェニル誘導体(直線的 分子)と比較した(2005年3月出版予定1報)。さらに,分子内に大きな歪みをもつ化合物フルオレニリデン誘導体 が生成する際に見られる立体選択性について,その由来を物理化学的に検討した。

B -4) 招待講演

T. OBA, “Functionalized cytoskeleton as a possible nano-device,” International workshop on supramolecular nanoscience of chemically programmed pigments (SNCPP04), Kusatsu, June 2004.

B -7) 学会および社会的活動

文部科学省スーパーサイエンスハイスクール支援 愛知県立岡崎高等学校 (2002-2003).

B -10)外部獲得資金

池谷科学技術振興財団研究助成 , 「生体高分子を用いた新規な集光超分子システムの構築」, 大庭 亨 (1998年 -1999年).

(2)

248 研究系及び研究施設の現状

関西エネルギー・リサイクル科学研究振興財団海外派遣助成, 「クロロフィルの分子構造と、その自己会合体の光捕集機能 について」, 大庭 亨 (1998年).

奨励研究(A ), 「超分子“ 電子ブロック” の構築」, 大庭 亨 (1999年 -2001年). 住友財団研究助成 , 「超分子“ 電子ブロック” の構築」, 大庭 亨 (1999年 -2000年).

泉科学技術振興財団研究助成 , 「超分子“ 電子ブロック” の構築」, 大庭 亨 (2000年 -2002年).

新世代研究所研究助成, 「『足場蛋白質』を中心とする情報伝達蛋白質複合体のモデル化と、リサイクル可能なナノ・マテ リアル・システムとしての応用」, 大庭 亨 (2001年 -2002年).

基盤研究(C ), 「自己集合性蛋白質をビルディングブロックとした複合化集積システムの構築」, 大庭 亨 (2001年 -2004年). 特定領域研究 , 「強磁場新機能の開発」研究計画班 , 「生物分子素子の高機能化」, 大庭 亨 (2003年 -2006年).

C ) 研究活動の課題と展望

A -3-aについて:強磁場を応用したデバイスの高機能化を引き続き検討していく予定である。同時に,ナノサイズの構造体中 に機能分子を集積する方法を,高分子の利用を中心として検討する。また,最終目標である自己修復するナノデバイスの実 現のために,散逸過程の応用方法を考えていきたい。

A -3-bについて:クロロフィルに複合化する高分子鎖について,T A T 配列などを参考に細胞内移行能をもつよう最適化を行 う。また,分子標的化や種々の反応触媒としての利用を念頭に,高分子鎖の複合化方法や新たな分子設計を検討していき たい。

A -3-cについて:「表裏」の一方の面が選ばれやすいという事実の裏付けを,さらに実験的手法と計算化学的手法から明確 にしていく予定である。このような検討を通して,クロロフィル蛋白質の(あるいは離合集散型超分子システムの)フォールディ ング過程や設計原理に迫りたい。

A -3-dについて:フルオレニリデンが生成する際に見られる立体選択的反応機構についての物理化学的検討をさらに進め るとともに,この特徴的な反応をフラーレンフラグメント等の新規合成手法に結び付けていきたい。

*)2004 年 4月 1日宇都宮大学工学部助手

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